レーザー治療

網膜光凝固術

網膜にレーザーを照射する治療法で、網膜裂孔、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症などに行われます。治療前に散瞳薬を点眼して瞳孔を開き、安全に治療することができます。この治療は痛みを生じることがあります。 レーザー治療は手術に準じる治療のため、自己負担の割合にもよりますが、高額な治療の部類に入ります。また個人加入の保険でカバーされる場合もありますので、加入している場合は加入先の保険会社に対象になるかどうかご確認ください。

ご注意

点眼する散瞳薬の効果は治療後も数時間持続するため、治療後の車・オートバイ・自転車などの運転はおやめください。ご来院時やご帰宅時には、公共交通機関を利用されるか、ご家族などの送迎が必要になります。

網膜裂孔の治療

網膜裂孔は網膜に穴や裂け目が生じている段階で、進行すると網膜が剥がれる網膜剥離を起こします。網膜剥離が進行すると失明につながります。網膜剥離になってしまうと手術治療が必要となるため、網膜裂孔の段階でレーザー治療を行うことが大変重要になります。網膜裂孔の段階でレーザーによって穴の周囲を焼き固めることで、網膜剥離への進行を防止します。ほとんどの場合は、中心から離れた場所にレーザーを照射するため、この治療によって視力の低下を起こすことはありません。
網膜裂孔は網膜剥離を進行させないためにも緊急の治療が必要です。基本的には診療で網膜裂孔が発見された場合は、当日中にレーザー治療を行います。

糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症などの治療

糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症を悪化させる原因因子はVEGFであることがわかっています。これらの病気では、病勢が悪化している網膜においてVEGFの産生が強く亢進しています。レーザー治療により網膜を一部間引きすることによりVEGFの産生量を低下させます。それにより出血などを起こしやすい新生血管の増殖抑制や、浮腫というむくみの解消にも効果が期待できます。悪化の防止は可能ですが、低下した視力を回復することはできません。またレーザー治療により目全体の機能が低下して視力が低下することもありますが、失明を予防する治療であるのでそのようなことがあることもご了承ください。

緑内障のレーザー治療

房水の排出を改善して眼圧を下げる治療のために行われます。眼球の中を充満している房水は隅角を通って排出されますが、隅角周辺は狭く、フィルターの役割を果たす線維柱帯もあるため、流れが滞って眼圧を上昇させてしまうことがあります。レーザー治療により房水がスムーズに排出されるようにして、眼圧上昇を抑えるのが緑内障のレーザー治療です。

緑内障について

SLT
(選択的レーザー線維柱帯形成/Selective laser trabeculoplasty)

事前検査を行ってから、瞳孔を収縮させる縮瞳薬を点眼し、隅角に弱いレーザー照射を行って、衝撃波によりフィルターの役割を果たしている線維柱帯に詰まった汚れなどを弾き飛ばして房水の流れを改善します。
組織の破壊を起こさないため線維柱帯が瘢痕化して術後に眼圧を上げることがなく、再び汚れで詰まってしまった場合は繰り返しこの治療を行うことが可能です。他の緑内障治療に影響することもありません。進行した緑内障だけでなく、軽度の緑内障進行予防のためにも行われるようになってきています。
外来で受けられる治療であり、事前検査、瞳孔を収縮させる縮瞳薬の点眼、レーザー治療、術後処置や検査にかかる所要時間を全て含めても2時間程度で可能な治療です。治療を受けた後は、定期的に受診して経過を観察します。
また、治療効果は約2~3年持続しますので、長期的にみると、点眼薬の治療と比べても経済的なメリットもあります。

SLT(選択的レーザー線維柱帯形成術)による治療が適している方

  • 点眼治療では眼圧が十分には下がらない
  • 正常眼圧緑内障で眼圧を下げる必要がある
  • 点眼治療による副作用が強い
  • 妊娠中・授乳中で点眼治療ができない
  • 仕事などで決まった時間に点眼するのが難しい
  • 何度も点眼を忘れてしまったことがある

など

レーザー虹彩切開術(LI)

急性緑内障が起こった際に有効な治療法です。虹彩は瞳の中心の黒い部分を囲んでいる部分です。レーザー虹彩切開術では、虹彩周辺にレーザーを照射してごく小さな穴を開け、房水が流れるバイパスを作って隅角を開大させ、房水の排出量を増やします。狭隅角や閉塞隅角緑内障などによって急激な眼圧上昇を起こす急性緑内障発作の予防にも有効です。突然の眼圧上昇で深刻な視野障害・視力低下や失明を生じさせないためにも、定期的に受診して状態を確認しましょう。
なお、治療後は点眼薬を処方しています。

後発白内障のレーザー治療

YAGレーザーによる後嚢切開術です。白内障の手術では眼内レンズを挿入しますが、それを支えるために残した水晶体嚢の後嚢が濁ってしまうのが後発白内障です。白内障と同様に視界が白っぽく見えるといった症状を起こしますが、挿入した眼内レンズが濁ってしまったわけではありません。
この濁りは、YAGレーザーの照射によって簡単に除去できます。かけらがはじかれるためしばらく視界のぼやけや飛蚊症のような影が見えることもありますが、徐々に改善します。
外来で受けられる治療であり、数分で終了します。痛みもなく、再発することもありません。ただし、治療後に一時的な眼圧上昇を起こすことがありますので、当院ではしばらくお休みいただいて様子を確認してからご帰宅いただいています。また、かなりまれですが術後の網膜剥離を起こす可能性がありますので、何度か通院していただいて経過を観察しています。

後発白内障について

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